Shimauta

1990年「ジャケット撮影のために沖縄を訪れる」

THE BOOMが最初に沖縄を訪れたのは1990年。はじめて沖縄音階を取り入れた曲「ひゃくまんつぶの涙」が収録されたサード・アルバム『JAPANESKA』のジャケット撮影がその目的でした。

その後、何度も沖縄に足を運び、多くの沖縄民謡を聴き、沖縄の文化に触れた宮沢和史は、沖縄の美しい風景の裏にある悲しい戦争の歴史を深く想うようになります。さとうきび畑の中にぽっかりと開いた防空壕が訴える無言の悲しみと、地表に根を張る植物の力強い生命のエネルギー。沖縄への旅で宮沢が見たこの光景が、のちに「島唄」を生んだモチーフとなっています。

JAPANESKA

1992年「島唄発売・日本国はもとより世界中でカヴァーされる」

1992年1月にリリースされたTHE BOOM4枚目のアルバム『思春期』に収録された「島唄」は、ウチナーグチ(沖縄の言葉)で歌われたヴァージョンが同年12月に沖縄限定でシングルリリースされ沖縄で大ヒット。1993年6月には、オリジナル・ヴァージョンの「島唄」シングルを全国でリリース。全国的にも100万枚を超えるヒットを記録しました。

「島唄」は国内だけでなく、ジャマイカのレゲエシンガーYAMI BOLO、中国の艾敬(アイジン)、イギリスのクラシック歌手IZZYなど、海外のミュージシャンにもカヴァーされ、中でもアルフレド・カセーロが 2001年12月にアルゼンチンで発表した「SHIMAUTA」は、日本語によるカヴァーにもかかわらずアルゼンチンで大ヒットとなり、アルゼンチンのグラミー賞といわれる「ガルデル音楽賞」を受賞、2002年FIFAワールドカップではアルゼンチン代表チームの公式サポートソングとして歌われました。

1993年には、喜納昌吉&チャンプルーズ・プロデュースの“ニライカナイ祭”、95年夏、那覇市主催の“天に響め さんしん3000”など、THE BOOMは沖縄でのイベントにも数多く出演。この“天に響め さんしん3000”のテーマ・ソング、「太陽アカラ波キララ」は一般公募された詞に宮沢が曲を付け、THE BOOMによって演奏されたもので、那覇の野外会場で三千丁の三線で合奏されました。

島唄(ウチナーグチ・ヴァージョン)
島唄(オリジナル・ヴァージョン)

2001年「その後も沖縄をテーマにした曲を多数発表」

「島唄」以降もTHE BOOMはアルバムごとに沖縄をテーマにした曲を発表しています。2001年にリリースされた宮沢和史のソロアルバム『MIYAZAWA』でも、ブラジル、東京、ニューヨーク、沖縄と移動しながら「沖縄に降る雪」「ちむぐり唄者」といった沖縄をテーマにした曲をレコーディングしています。

2002年6月リリース、THE BOOMのアルバム『OKINAWA〜ワタシノシマ〜』は、沖縄をテーマにした楽曲を集めた作品です。「島唄」の最新録音、沖縄スタンダード「十九の春」のカヴァー、沖縄の小学校の音楽室で児童たちと一緒にレコーディングした「さとうきび畑」など、全13曲。ジャケットは、雑誌の対談で知り合い意気投合した沖縄の版画家・名嘉睦稔氏が描いています。

2003年1月にリリースされた宮沢和史のベストアルバム『MIYAZAWA-SICK』には、歌詞の一部をスペイン語で歌った「Cancion de la Isla (Shima Uta)」が収録されています。

JAPANESK〜ワタシノシマ〜
MIYAZAWA-SICK