the boom
結成20周年 初のロングインタビュー

温かくて、穏やかなのに、強靱。ふくよかなのに、尖っていて、アグレッシヴ。THE BOOMのニューシングル『夢から醒めて/All of Everything』は今の彼らだからこそ作ることが出来た作品だろう。デビュー20周年記念シングルということになるが、懐古的なところはまったくない。今の彼らの思いがそのまま歌に変換されているのだ。懐が深くて、人間味あふれるバンドサウンドが展開されている。THE BOOMとともに歩んできた人々への愛と感謝の思いも、これから先ともに歩んでいこうとする意志も伝わってくる。これは彼らの新しい幕開けを告げる作品だろう。

――20周年に向けて、バンドが動き出したのはいつ頃からなんですか?

栃木昨年の5月21日に宮沢の弾き語りコンサート“寄り道”にTHE BOOMとしてゲストで参加した時に、「8月に横浜で『10000SAMBA!』をやるからね、来年は20周年もやるからね」っていう話は出ていましたね。

――このタイミングで動き出すことにしたのはどうしてなんですか?

宮沢これまでも何回か、活動休止の期間があったんですが、僕らは目標がないまま、音楽活動を続けることが出来ないんですよ。苦しい場面でも続けるという選択もあるんでしょうが、僕らにはそれが出来ない。今回は休止期間も長かったし、作品も出してなかったんですが、20周年を迎えるというのがどういうことなのかを考えた時に、20年間、同じメンバーでバンドを続けてきたのは自分たちの力だけじゃないと思ったんですよ。THE BOOMは4人だけのものじゃなくて、関わってくれたすべての人のものだな、ファンの人たちもTHE BOOMの一員だから、20周年を皆さんと祝いたいし、感謝したいなって。そこで僕らに関わった人、これから関わることになる人、すべての人に向けたラヴソングを作りたいと思ったんですよ。自分にとっての新しい目標が生まれたというか。すべての人への愛の歌、感謝の歌でアルバムを1枚作ってみたくなりました。

――今回のシングルはその流れの一環ということになるわけですね。

宮沢ええ。それでデビュー前に行ってた喫茶店に4人だけで集まったり、僕の弾き語りコンサートに来てもらったりして、まず曲作りをしてみようということになったんですよ。やるからには立ち止まった地点に戻るのが嫌だったし、それぞれ3年間進んできたわけだし、ファンの方も3年の月日をすごしてきたわけだから、お互いが新たに出会うというイメージを持ちつつ、スタートしました。

山川ファンの人達も次はどんな曲が聴けるんだろうって待っててくれたと思うんですよ。だから今のTHE BOOMの音を出さないと、納得してくれないだろうなって。とは言っても、これまでもずっとそういうやり方で来たので、特に気負うこともなく、20年間積み重ねてきたものを自然に出そうという感じでした。

――曲作りの時はどんな気持ちでしたか?

小林ワクワクしてました。バンドとしての活動を休んでた間に吸収したものを出すというよりも、これまでの人生の中で感じたことを自然に出せたらいいなって思ってました。

栃木僕自身はまずレコーディング作業が久しぶりだったので、その感覚を掴むのが大変でした。ともかくみんなと一緒に音を鳴らしていく中で、少しずつ思い出していくしかなかった。曲に関しては、THE BOOMの4人それぞれがちゃんとそこにいることが見える曲にならないといけないだろうなって。

――『夢から醒めて』はどういうきっかけで生まれた曲なんですか?

宮沢僕が曲作りをする上で最も避けたいのは自身のカバーをすることなんですよ。たくさん曲を書いてくると、これは前に書いたことがあるからやめようとか、ついつい考えすぎてしまう。でも頭で考えて、いい音楽が生まれるわけではないので、これまで吸収してきたことを一旦全部忘れて、自然体で作ってみよう、湧き上がってくるものだけで曲を書いてみようと思って、一人で約3週間くらい籠もって、曲作りをしたんですよ。

――一人で籠もることは自分と向き合うことでもありそうですね。

宮沢自分に正直になるにはどうしたらいいかというのが今回のテーマだったんですよ。いかに考えすぎたり、かっこつけたりしないか。強がったり、弱ぶったりしないか。素の自分をいかに歌にしていくか。朝目覚めて、無防備な状態で最初に浮かんだことが最も素直なんじゃないかと思ったので、朝起きて最初にギターを持って何かを歌い出すと決めて、スパッと出来てきたのがこの曲なんですよ。いい天気の日で鳥が鳴いていたんですが、まずコード進行とメロディが出てきた。ラヴソングでアルバムを1枚作れると確信を持てた曲でもありますね。

――『夢から醒めて』というタイトルは目覚めの状態でもあるわけですね。同時に、宮沢さんの音楽活動がひと区切りの時期を迎えたこととも繋がってきそうですね。

宮沢個人的に続けてきた音楽の旅があって。昨年のブラジル公演とジルベルト・ジルとの共演は僕の中でとても大きな目標だったんですが、予想以上にいい形で終われて、それを経た後の歌ということですよね。20年目の今じゃなきゃ、作れなかった歌だと思います。

――宮沢さんから曲が上がってきて、どんなことを思いましたか?

栃木THE BOOMを支えてくれた人たちともう一度新しいものを見つけにいこうという決意表明みたいなものも感じました。あと僕的にはかなり難しい曲だなって(笑)。

小林すごくいい曲だし、聴けば聴くほど、深い曲なんですよ。実際にレコーディングを始めてみたら、さらに深くて。色んなものを吸収出来たし、勉強出来た曲ですね。

――どういう気持ちで演奏したんですか?

小林何も考えないで弾いたという感じですね。意識するのは良くないと思ったので、無意識で気持ち良くプレイしました。

山川音に関しては自分なりに研究しつつ。優しいだけの曲になるのは嫌だったし、色んな要素を込めたいなと。バンドのこれからのことを歌っているともとれるし、恋愛の歌にもとれるし、優しくも強くも響くし、色んな聴き方が出来る曲になったんじゃないかな。

宮沢やる以上は新しいところから始めたかったんですよ。こういうところへ行きたいんだっていう目標や意志を伝えるために、ある程度の完成形をデモテープとして作って、メンバーに渡したんですが、みんなで突き詰めていくことで、最初に自分の中でイメージしていたものよりもはるかにいい曲になりました。久しぶりの一曲目ということもあって、時間はかかったんですが、目標を高くに設定して、もっと何かあるはずだって、妥協せず、緊張感を持って作ることが出来ました。

夢から醒めて
夢から醒めて/All of Everything

★2形態同時リリース
【CD+DVD】VFCV-00040/B ¥1,800
【CD】VFCV-00041 ¥1,200

夢から醒めて

All of Everything


2009年5月21日、デビュー満20周年を迎えるTHE BOOM。
原宿歩行者天国から、バンドブームの最中にデビューした彼らですが、スカ、フォーク、レゲエ、ロック、沖縄、ハウス、ファンク、サンバ、ボサノヴァ、ラテンなど、音楽の“本質”を求め世界を旅して、その中で出遭った人々や風景、文化の背景から、「島唄」や「風になりたい」など、ジャパニーズ・ポップス史に残る数々の名曲を生み出してきました。

“THE BOOMの20周年は、ちょっと昔を振り返ったりだとか、古い曲ばかりを皆さんに聴かせたりとか、そういう過去を引っ張り出すようなことにはしたくなくて、何か新しいことを始めるっていう意識でいたい。”とヴォーカルの宮沢和史が述べる通り、デビュー20周年を迎えたTHE BOOMが、過去を懐かしむでもなく、無理して若ぶるでもなく、枯れるでもなく、カッコよく、きっちりロックっていう形で見せた新曲2曲を収録した両A面シングル。

リリース後には【THE BOOM 20th Anniversary WE ARE THE BOOM !】と題した3年半振りのワンマン・ライヴを、大阪・大阪城野音と、東京・日比谷野音にて開催。
また、夏には第2弾シングル&ビッグ・ネーム・アーティストによるTHE BOOMカヴァー・アルバムの発売、そして全国ツアー【THE BOOM 20th Anniversary Live Tour 2009 My Sweet Home】&夏フェス出演、秋にはオリジナル・アルバム発売と、THE BOOM 20th Anniversaryを駆け抜けて行きます!


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